マーケティングの超必殺技講座「情熱がチームを一つにまとめる」

ユニフォームやデザインを通したブランディングで、クライアントの営業や採用といった経営課題に取り組もうとするユニット社。

顧客獲得のため、一同はDMやリスティングによる広告展開を進めていた。

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田中、リスティングの調子はどんな感じ?

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それが実は思わしくないんだ。いい感じのキーワードを探し出して入札しても、翌日には塗り替えられてしまっている。

――あのマックスユニフォームが入札してきて、最後には競り負けてしまうんだ。

あの大手マックスユニフォーム…!

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大手広告代理店に勤めている友人から聞いたのですが、マックスユニフォームはとにかく広告費を投下しているそうです。

ギリギリまで借り入れしてキャッシュを作り、レバレッジを効かせて広告を回し、とにかく受注する。受注数にものを言わせて街のユニフォーム工場をどんどん下請けパートナーに取り入れたり買収したりして、その空き稼働に差し込んで安価でデリバリーするという戦略を採っています。

1年前、わしのところにもM&Aのオファーがあったよ。

企業文化が違いすぎるからうまくいくはずがないと断ったがな。

そ、そうだったんですか…!

ああ、以前の取引先が一斉にうちから引き上げていったのも、マックスユニフォームとは無関係ではないだろう。

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岩倉さんたちをユニット社から引き抜こうとしているのもマックスユニフォームだそうです。

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それは本当か! 人材の引き抜きまでとは…。

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はい。私、工場にはちょくちょく顔を出していて、岩倉さんたちとは飲みに行ったりもしているんです。そこで聞きました。

そ、そんなぁ…。

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どうも厄介なところに目をつけられているようですね。ちょっと気になって調べたら、業界の風雲児としてドキュメンタリーにも取り上げられていました。これ、見てください。

♦ ♦ ♦

田中のPCに映像が映し出される。

ドキュメンタリー仕立ての経済番組で、マニュアルをベースとした組織づくり、日本中の工場の空き稼働を活用してオリジナルユニフォームを超低価格で提供するメソッド、従業員満足度を上げる施策など、様々な角度からマックスユニフォームが紹介されていた。

要所要所でマックスユニフォーム社代表、服部礼二の経営観が取り上げられる。

マックスユニフォームが成長する過程で、小さな工場が潰れることもあるでしょう。残念ながらそれは事実です。

私を悪く言う人はたくさんいる。でもそれは大型量販店の進出で個人商店が潰れるようなもので、消費者にとってはメリットのある、必要な痛みだと考えています。

代わりにと言うとおこがましいですが、弊社は毎年30%増の勢いで従業員を雇用しています。誰かがこの新陳代謝を起こさないといけないんです。

♦ ♦ ♦

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クソぉ、イケメンですね…。

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しかし間違ったことばかりを言っているわけではない。やり方の是非はともかくとして、彼は立派なイノベーターだ。

俺たちは俺たちのやり方で結果を出すしかないな。

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はい、成功者を羨んだり妬んだりしていても何も始まりません。

私たちは私たちの信じる道を一歩でも前に進みましょう!

た、た、大変です!

 

そのとき、慌てた様子で中村が部屋に駆け込んできた。

岩倉の顔が一同の頭に浮かび、嫌な予感がかすめる。

よほど慌てていたのか、中村が息を整えるまでに時間を要した。

大変なんです! 3件も受注してしまいました…!

じゅちゅう…。受注ですか?

はい、ウェブサイト経由から1件、DM経由で1件、コンテンツ制作の際に取材させていただいた保育園さんから1件、合計3件、注文をいただきました!

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やった! やりましたね!!

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3件か、まいったな…。

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徳島課長代行、嬉しくないんですか?

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まだ実績がない中で、3件同時に進めてうまくいくかが問題だ。もし失敗して納期を守れないようなことがあれば、悪評が広まる可能性もある。それこそマックスユニフォームに付け込まれでもしたら、大変なことになるだろう。

よく企業の失態がネット上で炎上騒ぎになることがあるが、実は多くの場合、最初の火付けは数人の仕業だと言われているんだ。5人くらいが色々なところで色々なハンドルネームで騒ぎ立てたら、それがあたかも大衆意見であるかのように装われる。「市民の意見」を論拠として記事を展開することの多い新聞各社がそれを取り上げ、そこからテレビ報道にも飛び火し、収拾がつかなくなる。

ネットを起点として情報が一夜にして駆け抜ける今、レピュテーションリスクは無視できるものではなくなっているわけだ。

この事業には会社の命運がかかっている。

それに3件同時となると、デザイナーの高崎さんにも相当の負担がかかる。

正直うちの工場だけだと捌ききれないロットになりそうです。でも、知り合いの工場に相談したら請け負ってくれるでしょう。製造面はどうにかなりそうです。

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あとは企画・デザイン面か。また高崎に無理をさせるわけにはいかない…。

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え、以前徳島さんの会社で身体を壊した後輩のデザイナーさんというのは、高崎さんだったんですか!?

大丈夫です。私、やります。やりたいんです!

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高崎…。

体調を崩して徳島さんに迷惑をかけてしまったこと、私、ずっと後悔していたんです。

それもあって、復帰してからはフリーランスとして、仕事量も無理をしないようにいつも抑えてきました。

そうすると生活にゆとりができたのですが、それはそれでハリがなくなってしまって…。

無理をしたくない、ゆっくりしたい。そういう人が有無を言わせない上司に残業させられているという話は不幸だと思います。

それと同じように、私のように精一杯仕事をして、仕事を通して笑顔に触れていきたいと思っている人間からすると、思いっきり仕事に打ち込めないことは紛れもない不幸だって、私思うんです。

徳島さんにまた声をかけてもらったことを嬉しいと思っているし、ユニフォームを通して現場の雰囲気やチームワークを変えられるかもしれないこのプロジェクト、私は多少無理をしてでもやり遂げたいと思っています!

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……。

ただ、もしかしたらまた体調を崩してご迷惑をかけることになるかもしれません。私は自分の体力を過信してしまうところがあるようで、そこだけは心配です…。

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ヒアリングしたり、要望をまとめたりする部分なら私にもできます。高崎さんが無理をしすぎなくても、役割分担をすればきっとうまくいきます。私もいるし、田中もいます。徳島さんだっているじゃないですか!

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いざとなったら僕の知り合いのデザイナーに加勢をお願いすることもできます。まだ未熟な部分もあるかもしれませんが、高崎さんがクオリティ管理をしてくれたらきっと成り立つと思います!

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私はやりたいです。やるために力を合わせましょう!

ありがとうございます!

フリーランスになってからは、いつもプロジェクトから一歩引いてデザインに取り組んできました。

今回のようにチームワークを感じられたのは本当に久々です!

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どうやら俺もまだまだのようだな。みんな、すまなかった。

これから忙しくなりそうだ。この週末はしっかり休んでくれ!

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はい!!


まとめ読みしたい、マーケティングの超必殺技講座シリーズ

1. マーケター田中の敗北

2. 仮説こそがマーケティングの第一歩

3. 失敗するよりもユーザーに聞いてみたほうが100倍早い

4. 消費者を知れば百戦危うからず

5. SWOT分析は現状を把握に有効なツール

6. 発想の量が質を担保する!

7. 意思決定で眠れない夜

8. 手間ひまかけたコンテンツは、即席麺より絶対にうまい

9. お金を出してもらうということの難しさ

10. レスポンス広告はABテストで磨く

11. 情熱がチームを一つにまとめる


本記事で使われているイラストなどの素材は、『アイキャッチャー』内ですべて無償で配布されています!

ぜひあなたのメディア、ブログ、チラシなどでもご活用ください!

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